2014年1月11日土曜日

「精神の貧困」が加速する中国:物質的貧困より恐ろしい―「略奪する中国人」に批判

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●14日、中国ではたびたび、高速道路に横転したトラックの積み荷を強奪する事件が発生する。今月10日、河南省南陽市の高速道路でリンゴ20トンを積んだトラックが横転。トラックに乗っていた3人に大きなケガはなかったが、積み荷のほとんどが強奪された。


サーチナニュース 2014-1-10 14:27
http://news.searchina.net/id/1520710

「精神の貧困」は物質的貧困より恐ろしい
―「略奪する中国人」に批判

 中国では、事故車から散乱した荷物や催し物の展示品に大勢の人が「それっ」とばかりに群がって略奪する事件が多発している。
 4日にも甘粛省蘭州市で発生したトラック横転事故で、近隣住民がつめかけて散乱した積荷のみかんを持ち去った。
 同事件を受け、蘭州大学教育学院の李碩豪院長が「精神の貧困は物質的貧困より恐ろしい」と述べるなど、有識者は憂慮の念を示した。
 中国新聞社などが報じた。

 李院長は、
 「精神の貧困は物質的貧困より恐ろしい。
 国民の民度を早急に高める必要がある」
と述べた上で、
 「伝統的な道徳観を強く発揚すると同時に、法律の尊厳を的確に守らなねばならない」
と主張した。

 李院長によると、
 「人々の道徳の<破れ穴>を放置したのでは、同様の現象が再発する
という。

 甘粛法政大学の徐愛水准教授は4日の事件について
 「みかんの略奪は違法であるだけでなく、数量も多いことから、悪質だ。略奪に積極的に加わった者には、聚衆哄搶公私財物罪(集合略奪公私財物罪)の疑いがある」
と述べた。

 4日の事件を担当した蘭州市楡中県公安局の張克強局長と和平派出所の丁耀卿所長は、群集による略奪は、
 「突発性が強く、発生地点が田舎で、人は多い」
と説明。
 和平鎮で過去2年に2回発生しているが
 「集団で発生した治安事件について、警察の対応方式を改善すべきだ」
という。

 張局長と丁所長は
 「交通警察や治安警察などの協力体制に改善の余地があり、同種の事件に対応する現場の警察官の経験や能力が不足している」
と認め、すでに発生した略奪事件から教訓を得て、警察としての対応方式を向上させる考えだ。



サーチナニュース 2014-1-9 18:35
http://news.searchina.net/id/1520612

警官の銃にもめげず、散乱した事故車荷物に住民「それっ」=蘭州

  甘粛省蘭州市で4日午前11時ごろ、大型トラックが横転し、積荷のみかんが道路わき耕作地に散乱。事故を知った住民が大挙して押し寄せ、積荷を拾い集め始めた。
 インターネットでは、やめさせようとした警察官が住民に拳銃を突きつける様子が写っていたため、批判の声が出た。
 結局は、積荷33トンのうち、残った売り物になるみかんは1トン程度だったという。
 中国新聞社が報じた。

  事故が発生したのは蘭州市内の国道G30号線の柳溝河高速道路出口の約1キロメートルの地点。
 トラックがスリップして横転した。
 ほぼ同じ場所で約1年前にもトラックが横転し、「それっ」とばかりに押し寄せた住民が手に手に積荷を持ち去った。

  4日の事故でも、周辺の村落から住民らが大挙して押しかけ、みかんを拾い集め始めた。
 交通警察官が駆けつけたが、とても制止できず、近くの派出所(解説参照)に連絡して応援を求めた。

  当初の報道は
 「以前にも略奪が発生したこともあり、交通警察官がまずみかんを守った。
 その後到着した警察が現場の秩序維持を行った」、
 「運転手は午後4時ごろになり、運転手は容器破損などでこれ以上みかんを集められないと判断し、集まった人々に拾い集めてもよいと許した」
などの内容だった。

  その後、同報道とはかなり違う記事が発表された。
 近隣の行政幹部も現場に駆けつけた。
 横転したトラックは危険な状態だった。
 みかんが散らばる耕作地よりも高い、道路の端に横転していたという。
 それでも人々は、夢中になってみかんを拾い集めていた。

  「トラックが落ちてきたら大事故になる。
 この場を離れてほしい」
と呼びかけたが、
 「あんたのみかんじゃないだろ!」
などの声が返ってきただけで、人々はみかんを集め続けた。

  荷主によると、
 「もう、全部のみかんは運べないから、残った分は持って行ってよい。
 今はやめてくれ」
と叫んだが、聞き入れてもらえなかった。
 人々は大きな袋や箱にみかんを入れつづけた。

  100人あまりの人がわれ先に押し寄せたので、踏みつぶされたみかんも多い。
 33トンのみかんを運んできたが、売り物になるみかんは1トン程度しか残らなかった。

  現場の状況を伝える写真10点ほどが報道されたが、大半は人々が群がってみかんを拾い集める様子だった。
 うち1枚に、警察官が高齢の女性に拳銃を突きつける姿があったため、インターネットで批判の声が出た。

  一方で、「秩序維持のため、警察が銃を使用するのは仕方ない」との意見も出た。
 問題の写真で、驚いているのは銃を突きつけられた女性1人で、周囲にはみかんを運ぶ人の姿も見られるので、掲示板に
 「銃を使っても、まだ立ち去らないんじゃ、警察もどうしようもないよな」
と書き込んだ人もいる。

  批判に対して警官隊を出動させた楡中県公安局(県警)の張克強局長は
 「現場で使った銃は暴徒の駆逐・鎮圧専用のもので、使用する弾丸は柔らかいもの」、
 「5メートルの近距離で発射して相手に当てても、致命傷は与えない」
と説明。
 法律でも認められている使用だったという。

  警察が銃を使用したのは午後3時すぎ。
 最初に出動した警察官だけでは足りず、警察は休日で自宅にいた警察官6人をさらに現場に急行させた。
 銃を使用したのは、その後という。

  高齢の女性に銃を突き付けたことについては、
 「(人に向けて撃ったのでなく)銃声で威嚇した。
 大部分の人はその場を立ち去ったが、それでもみかんを集めようとする人がいた」
と説明。

  銃口を女性に向けたのは事実だが、射撃したり威嚇する意図があったのではなく、「立ち去れ」と手のしぐさで示したときに、まだ銃を握っていただけという。
 張局長は、警察官は真面目に職務を遂行したと強調した上で、銃の使用法については不適切な部分もあったと認めた。

  同事故・事件で、運転手をふくめけが人は出なかった。

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◆解説◆

  中国の警察における「派出所」は日本の交番よりも規模が大きく、警察署と同様の機能を果たしている。

  また、中国では警察官の正式名称は「人民警察(レンミン・ヂンチャー)」で、一般的には「民警(ミンヂン)」と呼ばれる。
 派出所で勤務する警察官の多くは、「民警」のうちでも、「治安警察(ヂーアン・ヂンチャー)」と呼ばれる種類の警察官だ。
 「警察」の語で警察官を指す場合もある。

  派出所には「治安警察」の他、戸籍管理を担当する「戸籍警察(フーヂー・ヂンチャー)」なども勤務している。

  「交通警察(ヂァオトン・ヂンチャー)」は交通秩序の維持や事故処理を担当しており、「治安警察」とは別の場所で勤務していることが多い。



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月14日 23時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81772&type=0

<動画で見チャイナ>またまた強奪事件、20トンのリンゴに群がる周辺住民―河南省南陽市

 2014年1月14日、中国ではたびたび、高速道路に横転したトラックの積み荷を強奪する事件が発生する。
 2012年9月には、甘粛省蘭州市の高速道路でブドウを積んでいた大型トラックが横転し、散乱した積み荷のブドウが周辺の住民に強奪された。
 さらに、2013年10月には、湖南省の高速道路でパイナップルの貨物車が横転し、積み荷30トンのうち20トンが住民らにより強奪される事件が発生している。

 今回の強奪事件は、河南省南陽市の高速道路で発生した。
 今月10日、リンゴ20トンを積んだトラックが横転。情報を聞きつけた周辺住民が事故現場に殺到した。
 住民らは運転手の制止も聞かず、強奪を繰り広げ、警察も止めることはできなかった。
 中には幼い子供を抱いて事故現場に赴く人もいた。
 トラックに乗っていた3人に大きなケガはなかったが、20トンの積み荷はほとんど残っていなかったと運転手は語っている。